遺言書作成のすすめ
家族のことを思うなら、その資産について「遺言書」という形で残しませんか?
なぜ遺言書が必要なのか?遺言書の意義などを分かりやすくご紹介していきます。
Contents
遺言書は遺書とは違い法的効力のあるもの
遺言書とはいわゆる遺書とは違い法的に効力のあるものですが、それは誰にでも書くことの出来るものでもあります。遺言書には二通りの書き方があり、「自筆証遺言書」と「公正書遺言」というものがあります。
何故遺言を書くのか?
昔の民法では、その家の長男が全てを受け継ぐことが多く全ての資産を長男が守るのが当たり前でした。しかし現在は時代が変わり、相続分も長男が全てとはならなくなり、法定相続人で分配するような形になりました。
被相続人はその資産の分配を自分の意志で決めることが出来るということが出来るということです。
例えば家屋は分割をすることは出来ません。遺言書が無ければ相続人同士が家屋のことについてもめるかもしれません。そこで遺言書に「〇〇に家屋を譲る」と記載があればその相続人が譲り受けることが出来ます。このようにトラブルを回避する目的もあるということです。
映画やドラマのような”愛人”や”隠し子”にというわけではありません。(笑)
自筆証遺言書と構成証遺言は何が違うのか
自筆証書と公正証書の大きな違いは、自分で書くのか専門家(弁護士・司法書士)や公証人の元で書くのかの違いです。
自筆証のメリット
- 自分の好きな時に書くことが出来る
- 作成するための費用を支払わなくていい
自筆証のデメリット
- 法的効力のあるものなので、書き方を間違えると無効になる
- 改ざんや偽造の恐れがある
- 破れてしまうと効力が無くなる
- 家庭裁判所で検認申し立てをしなければいけない
※遺言書は相続人であっても勝手に開封出来るものではありません。家庭裁判所で検認の手続きを取ってから開封することが出来ます。
公正証書のメリット
- 改ざんの心配がない
- 原本を保管してもらえる
- 専門家・公証人の元で間違いのない遺言書が作成が出来る
- 相続開始後に、すぐに名義変更などが出来る
公正証書のデメリット
- 管理や更新の費用がかかる
- 作成のために弁護士・司法書士・公証人への費用・手数料がかかる
いつ遺言書を書き始めるのか?
遺言書の作成時期というのはいつからというものはありません。しかしご自身がはっきりとした判断能力があるうちに行わなければいけないことです。
「何を誰に」など資産に関わることですし、家族関係や役割分担などを考えて作成しなければいけません
遺言書を作成したくても出来ない時があります。
- 認知症になったら作成できません
- 強要されての遺言書作成はできません
- 意思が確認できないような状況であれば作成できません
認知症になってしまった場合というのは遺言書の作成が難しくなります。軽度な場合でしたら、専門家の指導で作成できる場合もあります。いずれにしてもしっかりしているうちが良いでしょう。
遺言書というのは自分の意志で描くものです。誰かに脅迫や強要されて書くものではありません。もしそういった遺言書であれば無効となります。
既に病院や寝たきりなどの状態で、意思疎通が交わせない状況にあれば遺言書の作成はできません。話が出来る、筆談が出来るかがポイントです。
どんな時に遺言書を書いた方が良いのでしょうか?
全ての方が遺言書を書いた方が良いわけでもありません。どういった時に遺言書を書いた方がいいのかご紹介していきます。
- 財産と呼べる資産があるが、その分け方が決まっていない
- 法定相続人が3人以上いると遺産分割がまとまりにくいことがあります。
- 再婚をしていて異母兄弟がいる。
- 資産の割合で現金よりも土地の割合が多い
- 自分が決めた相続人に多く譲りたい
- 相続人は複数いて、現金の資産が無くて不動産の遺産しか無い場合
- お子様がいない場合(実子への相続が無く、兄弟が相続人となります)
以上のような内容で複数当てはまる場合は遺言書を作成したほうが良いかもしれません。
※どのように自分の資産を分配するかを決めることが出来るのが遺言書の良いところです。
遺言書作成の失敗事例
せっかく家族のために思って作成する遺言書であっても、法的効力が無ければ意味もありません。間違ったやり方をしないことが大切です。
事例
- 自筆で書いたために書式などで不備があったりしたとき
- 弁護士や司法書士といった専門家の元で作成していないため、遺産分割などがスムーズにできない
- 税金などの支払いが複雑になってしまった
この原因となる多くは自分の考えで買いてしまったためによる記述ミスなどです。一度は専門家に相談されることをおすすめします。
遺言書の作成と流れ
弁護士・司法書士に遺言書の作成には約1月ほどあれば出来上がるでしょう。
- 必要書類の収集
- 資産の調査
- 文面の原案作成・被相続人へアドバイス
- 被相続による自筆証遺言の作成
- 公証人のチェック
- 公証役場で公正証書遺言書が完成
おおまかな流れはこういった感じです。
※遺言書が作成されたからといっても誰かの独り占めということではありません。
遺言書に相続させる人の氏名が一人だけあったとしても”遺留分請求”ということが出来ます。簡単にいますと一人占めは出来ないわけです。その他の相続人にも生活がありますから、その人たちの保障のために請求する権利があるわけです。
遺言の執行人を決めておく
遺言は中立に執行されなければいけません。相続人が執行するというのは公正中立とは言えません。たとえ家族といっても資産に関わることなので、変な思惑が頭をよぎることがあるかもしれません。それであれば家族とは関係のない中立な人を執行人として選ぶのが一番良いでしょう。
この場合の執行人というのは信託銀行であったり、弁護士や司法書士といった方が行うわけですが、そこには手数料が発生します。
例えば信託銀行の場合ですと100万円以上の報酬が発生したりします。司法書士の場合でも20万以上はかかります。この手数料には大きな金額の開きがありますから、執行人選びも慎重に行うべきです。
まとめ
現金や不動産といった資産がある方は特に遺言書の作成に関しては元気な時から気にかけておいた方が良いかもしれません。認知症が起きてしまったり、作成できるような状況ではなくなった場合に作りたくても作ることも出来なくなるからです。ご自身の資産を誰にどのように分配したいのか、明確にそれが分かっているのであれば早期に作成されるのが良いでしょう。
それも自筆でなく公正証書として作成されることが法的にも安心できますし管理にも心配がないのでおすすめ出来ます。